悪霊
[1. まぬけ犬推進委員会推薦図書]
最近読んだ本:
ドストエフスキー「悪霊」(上・下)
モンモン:「ドストエフスキーの、今度は『悪霊』って小説ですぜ!題名は『悪霊』ですがおばけの話じゃなくてこの題名は比喩的な意味で、無神論と社会的・政治的陰謀の話ですぜ!テーマは『無神論』みたいで、これが登場人物の人格、人生、そして物語全体を作り出していくんですぜ!」
ロビン:「『無神論』って、馴染み薄そうに聞こえるけど実は身近で、それでいて複雑なテーマだよね。」
モンモン:「後半くらいから話は急展開で、意外な展開の連続って感じなんですが、最後の最後では話はキレイにまとまってますぜ!」
ベルナ:「話の盛り上がるような場面はなかなかヒステリックで、登場人物が真っ青になって唇をわなわな震わしてるようなシーンはやたらと多いのよ!!!」
引用(自殺するキリーロフの遺書を、(政治的陰謀のため)ピョートルが口述し、キリーロフに書き写させる場面)>
彼の顔色は不自然なほど青白く、彼の目は耐えがたいほど重苦しかった。彼は熱に浮かされてでもいるようだった。ピョートルは、彼がいまにも倒れるのではないかと思った。
「ペンをよこせ!」ふいにキリーロフが強く霊感に打たれでもしたように、まったく思いがけなく叫んだ。(中略)
ピョートルはさっと踊りあがって、あっという間にインク壷と紙を手渡し、この機会を逃すまいと、成功を念じておののきながら、口述に取りかかった。
『余、アレクセイ・キリーロフは、宣言する……』
「待て!いやだ!だれに宣言するんだ!」(中略)
(キリーロフのセリフ)「全世界にか?ブラヴォー!それから後悔めいたことはいっさい抜きだ。後悔なんかいやだし、当局宛もごめんだ!」
「とんでもない、当局なんぞ糞くらえだ!さあ、本気なのなら、書いてくれたまえ!」ピョートルはヒステリックに叫んだ。
「待て!おれは上のほうに、下をべろりと出した面を描きたい」
「ええ、くだらない!」ピョートルは怒った。「絵なんか添えなくても、そんなことはみんな調子一つで表現できる」
ロビン:「それにしても、『調子』って意外と大事だよね。言葉って、意味だけじゃなくて調子や、あと、相手が持ってる前提知識も合わせて解釈されるからね。語調や相手の思い込みのせいで、言葉が、その言葉自体の意味が無視されて全然違う意味に解釈される事も結構あるしね。事実を把握してるわけでもないのに相手の考えを理解してると勝手に確信してる相手には、何を言っても通じない訳だね。」
ベルナ:「この話でも、自分のやってる事の正当性を確信するあまり、間違いとか行きすぎに気付かずに失敗するような展開も結構あるものね!!!」
・その他、印象に残った事
・プライドが高くて行動的な女性と、女々しすぎるくらい感傷的な男性のコンビ(夫婦や親友)が複数登場。なんか面白いコンビネーション。
投稿者Manudog
: 2006年02月25日 20:40
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