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まぬ犬 ロビン > 仲間たち > まぬけ犬推進委員会議録 >

2010年11月 2日

「フィンランド国民的叙事詩 カレワラ」とヴァルティナ

ボンドボンド:「じゃあ今回は、フィンランド国民的叙事詩『カレワラ』を紹介!フィンランドの神話的な歴史や結婚式などの文化が書かれてるよ。」

モンモンモンモン:「スケールが大きすぎる大胆なところがナイス!」

ベルナベルナ:「あと、カレワラを編纂したリョンロット博士が、キリスト教に対する異端の宗教としてフィンランドの文化を扱っているように見えたところがちょっと興味深かったわ!!!」

モンモンモンモン:「今は『カレワラ』は日本では絶版なんですが、実はまぬ犬も以前その本を持ってたんですぜ。例の幻聴のせいで捨ててしまったんですが…。」

ベルナベルナ:「その版の巻末の解説は良かったわ!!!フィンランドの伝承歌の歌い方とかの知識が載っていたの!!!例えば、歌うときに体を縦に揺らす習慣とか!!!フィンランドのトラッドポップグループ『ヴァルティナ(Värttinä)』で言うと、『Sulhassii』っていう結婚式の曲の歌い方にそれが出ているように見えるわね!!!」

Värttinä - Sulhassii

モンモンモンモン:「呪文を歌う時の特徴も書いてありましたぜ!他の呪唱者などに邪魔されないように低く早口で唱えるんだとか。ヴァルティナの愛の呪文の歌『Lemmennosto』も、本当は低い声で口を閉じて歌うものだったらしいですぜ。」

ベルナベルナ:「呪唱の場面は『Äijö』にもあるわ!!!CD『イルマタルIlmatar)』の録音ではギターの男性メンバーアンット・ヴァリロ(Antto Varilo)が低い声で早口に唱えるのよね!!!これが基本に忠実なスタイルなのかしら!!??」

モンモンモンモン:「唱えてる途中で誰か男性の馬鹿笑いが聞こえるのが好きですぜ!誰の声でしょうかい?呪文のパートはライブのビデオでは女性ボーカルのキルシ・カェーコェネン(Kirsi Kähkönen)やヨハンナ・ヴィルタネン(Johanna Virtanen)が担当してますが、アンットの呪唱シーンも見てみたいモンですぜ!アンットは今ヴァルティナにいないんですが。」

Värttinä - Äijö

ボンドボンド:「『カレワラ』の復刊リクエスト投票はインターネットで受け付けてるよ。ここここでね。最近、在庫がどれだけあるのかわかんないけど、ここから中古で買えるようにもなったみたいだよ。」

2010年11月 1日

ノルウェーの小説「アルネ」

- 前回の続き -

モンモンモンモン:「去年、ノルウェーのビョルンソンって人が書いたアルネって小説を読みましたぜ!ノルウェーの民族音楽に興味のある人にお勧めできそうな作品でしたぜ!」

ボンドボンド:「なぜなら主人公のアルネ君は、頭に自然に歌や詩が浮かんでくるというステキすぎる才能の持ち主の男の子だからね。」

ベルナベルナ:「作品が書かれた19世紀半ばの庶民の生活やノルウェーの情景が、雰囲気ある感じに描写されていたわ!!!」

ボンドボンド:「ノルウェーって言うと、イプセンやムンクが有名だよね。彼らの作品は絶望感の描き方が特徴的だと思ったことがあるよ…。」

モンモンモンモン:「それに、アルネの途中までのストーリーのちょっと暗めな雰囲気から、この作品も絶望的な最後が訪れるのでは…という嫌な予感がしたんですけど、結末は……えーと、読んでのお楽しみですぜ!秘密!」

なめたろうなめたろう:「ピッピピッピピーピッピ(まぬ犬が買ったのは、大型スーパー内の本屋さんの絶版本コーナーにあったッピ。定価より高かったッピ…。言葉も古かったッピ。あとがきでも『ノルウェー』を『ノルヱ』とか書いてたッピ!)」

2009年11月 7日

最近読んだ漫画

ベルナベルナ:「インターネットのニュースで読んで前から気になってた、国を人間キャラクターにした漫画、『ヘタリア Axis Powers』を買って読んだわよ!!!」

・作者のサイト:キタユメ。
・アニメ版のサイト:ヘタリアドットコム:アニメーション「ヘタリア Hetalia Axis Powers」公式サイト

ボンドボンド:「pixivでも大人気みたいだよね。」

ベルナベルナ:「国、国民性をキャラクター化したって事もあって、ステレオタイプな描かれ方がされててキッズ向けとしては問題ありな感じよ!!!現に韓国から苦情が来てアニメ版はキッズステーションでは放送中止になっちゃったのよ!!!今はWebサイト『アニメイトTV』でだけの公開なの!!!」

モンモンモンモン:「人種ステレオタイプなキャラクターが活躍するアニメといえば、Adult SwimMinoriteamってのがありましたね。Adult Swimらしい下品アホカートゥーンですぜ!」

ベルナベルナ:「『ヘタリア Axis Powers』も結構下品なおバカアニメよね!!!でも国ごとのイメージでキャラクターが濃くなってる感じなのが気に入ったわ!!!劇場版の制作も決定してるらしいけど、どんなものになるのかしら!!!」

2006年2月28日

アルルの女

最近読んだ本:
ドーデー「アルルの女」

モンモン:「『カルメン』と同じくビゼーが音楽を付けた、戯曲ですぜ!」

ロビン:「内容はふつうだったよ。分かりやすい伏線に、起きる出来事もそれなりに感動的だけど正統派っぽい感じ。」

モンモン:「でも雰囲気はなかなか味があって良かったですぜ!」

2006年2月25日

悪霊

最近読んだ本:
ドストエフスキー「悪霊」

モンモン:「ドストエフスキーの、今度は『悪霊』って小説ですぜ!題名は『悪霊』ですがおばけの話じゃなくてこの題名は比喩的な意味で、無神論と社会的・政治的陰謀の話ですぜ!テーマは『無神論』みたいで、これが登場人物の人格、人生、そして物語全体を作り出していくんですぜ!」

ロビン:「『無神論』って、馴染み薄そうに聞こえるけど実は身近で、それでいて複雑なテーマだよね。」

モンモン:「後半くらいから話は急展開で、意外な展開の連続って感じなんですが、最後の最後では話はキレイにまとまってますぜ!」

ベルナ:「話の盛り上がるような場面はなかなかヒステリックで、登場人物が真っ青になって唇をわなわな震わしてるようなシーンはやたらと多いのよ!!!」

引用(自殺するキリーロフの遺書を、(政治的陰謀のため)ピョートルが口述し、キリーロフに書き写させる場面)>
彼の顔色は不自然なほど青白く、彼の目は耐えがたいほど重苦しかった。彼は熱に浮かされてでもいるようだった。ピョートルは、彼がいまにも倒れるのではないかと思った。
「ペンをよこせ!」ふいにキリーロフが強く霊感に打たれでもしたように、まったく思いがけなく叫んだ。(中略)
ピョートルはさっと踊りあがって、あっという間にインク壷と紙を手渡し、この機会を逃すまいと、成功を念じておののきながら、口述に取りかかった。
『余、アレクセイ・キリーロフは、宣言する……』
「待て!いやだ!だれに宣言するんだ!」(中略)
(キリーロフのセリフ)「全世界にか?ブラヴォー!それから後悔めいたことはいっさい抜きだ。後悔なんかいやだし、当局宛もごめんだ!」
「とんでもない、当局なんぞ糞くらえだ!さあ、本気なのなら、書いてくれたまえ!」ピョートルはヒステリックに叫んだ。
「待て!おれは上のほうに、下をべろりと出した面を描きたい」
「ええ、くだらない!」ピョートルは怒った。「絵なんか添えなくても、そんなことはみんな調子一つで表現できる」

ロビン:「それにしても、『調子』って意外と大事だよね。言葉って、意味だけじゃなくて調子や、あと、相手が持ってる前提知識も合わせて解釈されるからね。語調や相手の思い込みのせいで、言葉が、その言葉自体の意味が無視されて全然違う意味に解釈される事も結構あるしね。事実を把握してるわけでもないのに相手の考えを理解してると勝手に確信してる相手には、何を言っても通じない訳だね。」

ベルナ:「この話でも、自分のやってる事の正当性を確信するあまり、間違いとか行きすぎに気付かずに失敗するような展開も結構あるものね!!!」

・その他、印象に残った事

・プライドが高くて行動的な女性と、女々しすぎるくらい感傷的な男性のコンビ(夫婦や親友)が複数登場。なんか面白いコンビネーション。

2006年2月12日

月と六ペンス

最近読んだ本:
モーム「月と六ペンス」

ベルナ:「イギリスの小説よ!!!」

モンモン:「主人公はストリックランドという画家で、ゴーギャンが彼の人生や画風のモデルになってるんですが、性格とか、人生の細かい部分とかは殆ど創作になってますぜ!」

ベルナ:「このストリックランドっていう人物は、順調に働いていたはずの会社を突然辞めて、『絵を描きたくなった』って理由だけで家族を置いてパリへと行ってしまって、貧しい生活を続け、タヒチで生涯を終えるまではその絵はほとんど評価されなかったって事になってるのよ!!!」

モンモン:「そして彼は、かなりの皮肉屋で、周囲の目、反感あるいは同情にも動じる事なく、ひたすら自己中心的で嘲笑的な態度を取り続けたんですぜ!語り手は『もしあなたのような人ばかりだったら世の中成り立ちませんよ』みたいな事を言うんですが、彼の周りで『家を出たのは、どうせ女が出来たからに決まってる』と偏執的に断定する人物や、世間体や地位を手に入れる事を一番に考えてるような、世俗的な事柄に執着する、ストリックランドとは対照的な人々の姿も目に付くようになるんですぜ!」

しるく:「ジュッビジュッビジュ(ストリックランドは皮肉屋だけど、実は語り手の方が毒舌に見える場面が多かったぞ)」

ベルナ:「ところでイギリスではロビン・フッドみたいな『世間を離れて森の中に潜むアウトロー』的ヒーローが受けるのかしら!!??そういうお話よくある気がするわ!!!」

ロビン:「……ロビン?」

2006年2月 7日

かもめ・ワーニャ伯父さん

最近読んだ本:
チェーホフ「かもめ・ワーニャ伯父さん」

しるく:「ジュッビジュビビ(ロシア。戯曲。)」

ベルナ:「色んな人が出てきてあっちこっちで意見が衝突するわよ!!!ただの自己中おばさんに見えるような人物も含めて、登場人物それぞれがそれぞれの信条をもってそうな感じが面白いわ!!!結末はとてもハッピーエンドとは言えないけど、とりあえず未来への希望は残ってる、というか、はるか遠い未来への希望をなんとか見出してるみたいよ!!!たとえそれが、生きてる間でなくてもね!!!」

2006年2月 5日

マルテの手記

最近読んだ本:
リルケ「マルテの手記」

ロビン:「リルケはカフカと同じでプラハ(チェコの首都)出身のドイツ語作家みたいだね。」

モンモン:「マルテの手記。この本は、日記みたいな感じになってて、出来事や思い出話を語ってますぜ!」

ベルナ:「内容はかなり詩的よ!!!考えた事や、感じた事や、体験した事とかが詩的なインパクトたっぷりな表現で描かれてたわ!!!」

引用1:
 彼は燃えつきようとするろうそくのように立ち、さっきから一回も動かない。彼がどんなに誘いよせ引きよせているかを、群がっている愚かな小鳥たちはすこしもさとれないのである。おそらく天使が不意に舞いおりてきて、勇を鼓し、しなびた手のなかの古い甘いパンくずを食べるであろう。しかし、いつものように見物人たちは雀だけで満足し、男の目的も雀を呼ぶことだけであったと力説する。かれらの言うとおりであって、雨ざらしの古い人形のような男が雀よりほかになにを期待しよう

引用2:
 ひところ母は僕が男の子ではなくて、女の子であったらと願ったことがあることを話し合った。僕は母のその気持ちをそれとなく察して、昼すぎに母の部屋のドアを時々ノックする考えになった。母が「だあれ?」ときくと、僕はドアのそとで「ソフィーアよ」と返事をするのがうれしかった。幼い声をできるだけ女の子らしくかわいらしくしようとして、喉がくすぐったくなった。(中略。ソフィーアになりすますマルテ。)多くはマルテの腕白を数え上げて、マルテの愚痴をいうことで始終した。「ほんとうにね、マルテったらね」と母はため息をして言った。そして、ソフィーアは世間の男の子の腕白をいくつも数え上げた、男の子をどっさりと知っているように。
 「ソフィーアはそののちどうなったろうね」と、母はそういう思い出の後で不意に言うのであった。むろんマルテはそれについてなにも答えられなかった。しかし、母がソフィーアは死んでしまったのだろうと言うと、マルテはかたくなにそれに反対し、死んではいないという証拠はなかったが、そんなことを信じないようにと頼んだ。

モンモン:「きっとソフィーア嬢もフォスターズ・ホームへ行ったんですぜ!」

ベルナ:「適当なこと言わないで頂戴!!!」

2006年2月 1日

最近読んだ本:
ドストエフスキー「賭博者」

モンモン:「前回に引き続いて今回もロシアの小説!ドストエフスキーの『賭博者』ですぜ!」

ロビン:「『ドフトエフスキー』はNGワードだよ。」

ベルナ:「ルーレット賭博によって、登場人物たちの経済事情が変わり、そしてお互いの関係がコロコロ動かされてく、なかなかダイナミックなストーリー展開だったわ!!!あと、主人公の性格がなかなか極端で驚いたわ!!!必ずしも浅はかって訳でもなさそうなんだけど、妙なところで自信を持って、妙な方向に突進していくの……だから博打にはまっちゃったのかしら!!!それに、ヒステリックって言うか、何かあるごとに喧嘩腰になってペラペラペラペラ喋りだすのよ!!!そして仕舞いにはそれが『うわごとのように』なっていって、だんだん理屈が屁理屈っぽくなってくるの!!!」

モンモン:「でも最近読んだロシアの小説(まだ感想載せてないのも含めて)の中には、そういう感じの登場人物は結構よく出てきてましたぜ!」

・その他、印象に残ったところ

早く死んで遺産を譲り渡してくれる事のを皆から期待されてる「お祖母ちゃん」が現れるシーンが楽しい。やたら元気で、周りの状況を無視して、我が物顔で威張り散らしたり賭博で暴れたりする。彼女の登場によって話の雰囲気がいきなり変えられてしまうのだ。

2006年1月31日

スペードの女王・ベールキン物語

最近読んだ本:
プーシキン「スペードの女王・ベールキン物語」

ベルナ:「プーシキンの短編集よ!!!うーん、とってもシンプルな文章だったわ!!!このお話たちのいい所は、文章の単純さゆえに深読みできるって所かしら…!!!あの登場人物は何を考えてたのかしらって、嫌でも気になる感じね!!!」

モンモン:「いやいやこれは、物語の筋を楽しむべきなんですぜ、きっと!かなりドラマチックで意外性があるじゃないですかい!シンプルだからこそ盛り上がる所の盛り上がりっぷりの鮮やかさも引き立つってワケなんじゃないですかい!」

・追記

ロビン:「シンプルで大胆で意味深…っていうと、この前のラトビア民謡CDの感想とイメージがかぶるね。」

ベルナ:「でもそっちは荒削りで力強い感じだけど、この本の方はもっとクールで哲学的な雰囲気よね!!!何を『哲学的』って定義するのかは微妙なとこだけど!!!」

モンモン:「『哲学的』っていうか、『人間の深層心理とかについて考えたくなるような描写が多い』ってとこなんじゃないですかい!?」

ロビン:「そんな描写あったっけ?」

2006年1月29日

カルメン/コロンバ

最近読んだ本:
メリメ「カルメン/コロンバ」

ベルナ:「『カルメン』はジプシーの女カルメンと、そのジプシー特有の奔放な生き方に翻弄される男の話よ!!!舞台はスペインで、語り手はフランス出身よ!!!」

しるく:「ジュビッジュピピー(あれ、どっかで『フランスの恋愛モノは苦手』とか言ってなかったっけ)」

ベルナ:「この話はあんまりベトベトしてないからいいの!!!」

モンモン:「ビゼーの歌劇『カルメン』ではもっとメロドラマチックに作り変えられてるらしいですぜ。美しくない登場人物は削除済み!ぎゃーお。」

ベルナ:「そして『コロンバ』は、自分の家の長男である兄に、強引に父親の仇討ちをさせようとするコルシカ島の女、コロンバのお話!!!カルメンもコロンバも、『現代的』な道徳観なんかお構いなしに、自分達の民族的な習慣、伝統、信条に頑固なまでに忠実に従い続けるの!!!特に、人の『死』に対する考え方に独特のものが見られるわよ!!!」

・追記

ジプシーつながりの音楽

Besh O Drom「Can't Make Me」
ロビン:「色んなものが混ざってるけど、ジプシーの音楽がベースになってるんだって。迫力があるのに軽やかだよ。ハンガリー製。」

しるく:「ビイビジュー(声が面白い)」

モンモン:「声だけじゃなくて、他にも面白げなものがごちゃっと散りばめられてますぜ!」BeshodroMのサイト

Kodaly、Szabo、Cantemus「Choral Music」
ロビン:「ハンガリー出身のコダーイ作曲の聖歌/合唱曲。ジプシーがテーマの曲も入ってるよ。」

ベルナ:「整然とはしてないけど、『ざわめく生命と色鮮やかな豊穣』を表すのが狙いらしい(CDのライナーに書いてあった)から、そういうところが味なのね、きっと!!!」

試聴はここでできる

2006年1月28日

ねずみチュウチュウ

(『カフカ寓話集』の一篇『歌姫ヨゼフィーネ、あるいは二十日鼠族』からの引用)
『ヨゼフィーネが生み出すのは、ただのチュウチュウだけではない。うんと離れて耳をすますか、あるいはこのような観点から、わが耳を試してみるほうがいいかもしれないが、ほかの声にまじってヨゼフィーネが歌っているとき、おのずと彼女の声を聴きわけなくてはならない。とすると、いやでも気がつくのだが、ごく普通のチュウチュウである。(中略)たとえごくふつうのチュウチュウだとしても、そこにはまず特異な一点がある。つまり、まさしくふつうのことをするのに、およそふつうでないしぐさをすることだ。クルミを割るだけのことはいかなる芸でもなく、やってみせて、しかもまんまともくろみを成功させたなら、それはもはや単なるクルミ割りだけではなくなる。あるいはたとえクルミ割りであっても、われわれはこれまでクルミ割り芸といったものを見過ごしていたことになる。私たちが単にクルミを割っていただけであるのに対して、いまや登場した新しいクルミの割り手が、クルミ割り本来の本質を示してくれたということになり、しかもクルミを割るにあたって、われわれのおおかたよりも少々ぶざまであったほうが、なおのこと有効に働く。』

ロビン:「そうだ!仮に世の中の『芸』っていうものが皆そういうもの (何かの本質を別のやり方で強調的に再提示したもの) だとして見てみると、Cartoon PlanetのBrakは、例の使いまわし画像のぶざまな画面の中で面白くない一人漫才やアホな歌を演じることで、『アホ』の本質を視聴者に………って、ちょっと違うね。やっぱり何でもないや。ごめんよー。」

モンモン:「そうですぜ!Brakに失礼すぎですぜ(笑)!」

・追記

モンモン:「Brakの歌っていうのは、ひたすらアホなのの他に、実際にある曲やジャンルをアホ化したパロディーも多いんですぜ。あと、Brakの面白くない一人漫才を日本語で例えるとこんな感じですかい!」

例1:
「ふとんがとんでった」

例2:
「土鍋の上にあるみかん」

例3:
「隣の家に塀が出来たって」「フーン」

パロマー

最近読んだ本:
カルヴィーノ「パロマー」

モンモン:「イタリアの日刊紙に掲載された作品集。これの前に読んだ2冊がちょっと暗い話だったので、やたら楽しい話のように感じましたぜ!堅苦しくてややこしい部分も多いですが、まあ中盤くらいまでは、あっさりした明るい雰囲気が何か愉快でしたぜ。

本編の前に『カルヴィーノから読者へ』ってページがあって、それが学術文献か何かみたいな厳つい前書きなんですが、それによると、第1章では視覚的体験を表してて、第2章では視覚的条件以外に言語・意味・象徴も含んだ文化的要素も加わって、第3章ではより思索的な経験を表す章になってるらしいですぜ!

第1章では、パロマー氏はホントに当たり前な、目に見えるものを観察しながら、その中に隠された深い意味とか、法則性とかを見出そうとするんですぜ!波の動きのパターンや、どうでもいい下らないようなものも深読みするパロマー氏。パロマー氏は波の動き、カメの交尾、草の集合体としての草原、それに星空(パロマー氏は天体観測が大好き)とか主に自然の現象を観察するんですが、他にこんなのもありますぜ。

例1:
パロマー氏が浜辺を歩いていると、胸もあらわな女性が日光浴をしているのに遭遇しました。礼儀や『男性優位という旧弊な習慣』、あるいは『開放的な方向への風俗の変化』といった面での誤解を受けないようにするため、パロマー氏は彼女のいる方向をどのように視線を送りながら通り過ぎるべきか考えるんですぜ。でも彼は思いついた方法を全部試して彼女の周りを何度も往復したから、その女性は腹を立ててどこかへ去っちゃったんですぜ!

例2:
クロウタドリたちの口笛を聞きながら、それが対話になっているのか、だとしたらどうやって、そしてどのような意味がその口笛によって伝えられているのか、そしてその意味をお互いに理解できているのか(『もしかしたら他の誰かを理解するなんて誰にもできないのかもしれない』)考えるパロマー氏と、庭で水やりをする夫人の会話。
(引用)『”しっ”パロマー氏は言う。
『表面上は、妻が大きな声を出してかれらを驚かせないように(パロマー夫妻の存在にも話し声にも慣れっこになってしまったクロウタドリのつがいにしてみれば余計な心配を)するためだが、本心とはいえば、彼女よりはるかに自分の方がクロウタドリに熱心なのだと示してみることで、妻の優位に異議を唱えるためである。
『するとパロマー夫人が言う。”昨日やったばかりなのに、また乾いてしまって”
『これは、いま水をやっている歌壇の土を指しているわけだから、それ自体無意味な伝達である。だが、話を続け話題を変えることで、自分が夫とはくらべものにならないくらい、クロウタドリと気楽で気のおけない間柄にあるのを示そうとしているのだ。』

第2章は、食べ物屋で買い物をするパロマー氏や、動物園の動物を見るパロマー氏の話など。そして第3章は、あらゆる経験を集めて帰納し切って抽象化した、あらゆるものに適用できるような究極のモデルを頭の中に作り上げたいパロマー氏。でもそんな事出来ないんですぜ!この第3章では、宇宙との調和とか、死とか、かなり核心的なテーマの話が集められてますぜ!うー、テーマが重すぎですぜー!じゃあこの辺で!」

モンモン:「…と思ったけど最後に一つだけ紹介!メキシコの遺跡に行くパロマー氏。彼を案内するのは遺跡に刻まれた図像の意味を解説するのが好きな友人ですが、パロマー氏はそれとは正反対のものを目にしますぜ。それは若い教師で、子供達を引率しながら、どんな図像の前でもいくつか事実関係を提供した後で『なにを意味しているかはわからない』と決まって付け加えるんですぜ。そこでパロマー氏は考えます。(引用)『この石たちがわたしたちに示している以上のことを理解することを拒絶する。それがおそらく唯一可能な、石たちの秘密に対する敬意の払い方だろう。』『それでいてかれは、ある言語表現を別の言語表現に、具象的図像を抽象的言語に、抽象的象徴を現実の体験に移し変えたり、翻訳したり、アナロジーの網の目を紡いで織り上げてみたい、という欲求を心の中で抑えておくことなど、けっして自分にはできないことは心得ている。解釈しないなんて不可能だ。考えるのをやめられないのと同じだ。』」

・追記

モンモン:「鉤括弧の使い方を後からちょっと修正しましたぜ!」

ロビン:「まぬ犬ロビンって、文章が全部キャラクターのセリフになってるから、全部文が鉤括弧に入るんだよね。だから複数の段落に渡る文章になってくると、鉤括弧の使い方が分かりにくくなってくるんだよね。」

モンモン:「そこで、引用とかも混じってくると、引用じゃない部分と引用の部分がごっちゃにされそうで大混乱ですぜ!なので皆さん、その辺は皆さんの方で気をつけて読んで下さいね!」

2006年1月20日

尼僧ヨアンナ

最近読んだ本:
イヴァシュキェヴィッチ「尼僧ヨアンナ」

モンモン:「17世紀フランスで実話として残されてる悪魔祓いの話をイヴァシュキェヴィッチがポーランドバージョンにした小説。だからどこからどこまでが文献(スーリンのモデルになった神父の自伝など)に忠実なのか、どこからどこまでがイヴァシュキェヴィッチの創作なのか見分けられませんぜ!グロテスク系の話を書こうとしてるようにも見えるし、ラブストーリー系にも見えてきますぜ!あえて、モンモンの趣味に偏った要約をするとこんな感じですぜ!最近読んだ本の中では珍しく起承転結がはっきりしてるかも。

(引用じゃなくてまぬ犬による要約だから偏ってるので注意)
田舎の尼僧院で尼僧に取り憑いたという悪魔を取り除く役目を負った司祭スーリン。尼僧院では、ある時から、若き尼僧長ヨアンナをはじめ、『悪魔に取り憑かれた』という尼僧たちが卑猥な言葉を喋り踊ようになったのだという。スーリンはヨアンナの話を聞き、彼女らを哀れみ、何とかして悪魔を退治しようとする。だが、実は『悪魔が取り憑いた』という話は尼僧の作り話なのではという疑問も残される。その疑問は徐々に薄れていくものの、ヨアンナは自らの不幸な境遇を語る時、満足げな表情を浮かべ、またスーリンとの話の中に『自分を清純に見せかけるためのあからさまな嘘』を混ぜ、挙句『聖女にもなれず平凡でつまらない尼僧でいるくらいなら、悪魔に取り憑かれたままのほうがまし』というような事も言い出す。そんな彼女の姿を見るうちスーリンは、『悪魔』は外から取り憑いてきたものではなく、本人の内面から生じたものなのではと考え始めるようになる。そして、ついに彼は、自分の中にも巣食っている『悪魔』に気付く。彼は昔のように自分の清廉潔白さを信じられなくなり、自分が道徳的な力を失うのを感じた。そして『悪魔に取り憑かれた』彼は修道院から帰らされる事になり、その途上で彼は殺人事件を起こしてしまいましたとさ。」

ベルナ:「この話が書かれたのは戦後で、そんな大昔じゃないから、この話の中の『悪魔』って概念は、宗教には直接のない何かの隠喩になってもいそうよね!!!あと、登場当初はいわゆる奇形でどこか不気味な感じの存在として描かれてたヨアンナが、だんだんスーリンの目に『ひ弱な体と清純な魂』を持つ女性へと、何となく美化されて見えてくるのは、彼女への同情を象徴してるのかしら!!??『もしかしたら本当に彼女の中には悪魔はいないのではないだろうか?ヨアンナは現実には存在しない悪魔の犠牲であって、ただ善の欠落が彼女を支配しているのにすぎないのかもしれない、そう思っただけで彼の体を寒気が走った。』」

・追記

ベルナ:「話の最後の方の『道徳的な力』っていうのは、自分自身の道徳を信じる強さの事か、あるいは『道徳』ってものが持つ宗教的な意味での力の事かしら!!!」

モンモン:「スーリンは真面目な神父だったから、そういうものに依存する気持ちは特に強かったんじゃないでしょうかい。自分への自信とか、自分の拠り所になってたものを急に奪われると、人は精神をやられちゃうんでしょうぜ。」

ロビン:「でもこの話では『精神をやられちゃった』んじゃなくて『悪魔に取り憑かれた』って言ってるよ。」

・追記2

ロビン:「モンモンちゃんはどうしてもスーリン神父が『悪魔に取り憑かれた』んじゃなくて、頭がおかしくなってたってことにしたいんだね。」

しるく:「ジュビビジュー(そりゃ、悪魔なんて存在しないからな)」

ロビン:「でも、『悪魔』っていうのが、『重力』や『浮力』みたいに、理論上の概念の一つだとしたら、スーリン神父の中には『悪魔』はいたって言えるよね。そもそも、『科学』が世の中を発展させるために、世の中のあらゆる現象から法則性を見つけ出したもので、『宗教』が、皆がよいこで仲良しで暮らしていくために、世の中のあらゆる現象を『道徳』って基準で分析して法則性を見つけ出したものだって考えると、『科学』も『宗教』も似たようなものだよね。どっちも人間の頭の中から生み出されたものだから、どっちが『正しい』とか言えないよね。西洋医学と東洋医学の両方が共存してるみたいに、世の中ではお互いに矛盾する複数の秩序が共存できるんだよね。そんな世の中で、『正しい』ってことにされるような秩序は、一つの全体的な『流れ』として矛盾がないもの、事実と照らし合わせても説得力があるもの、つまり筋が通ってる秩序なんだろうね。きっと。秩序としての『正しさ』をどこまで貫けるかって話だね。」

モンモン:「えー、そんなモンですかい!?でも科学は、宗教と違って、既に見つけ出された結論を柔軟に塗り替えて説得力を維持できるから、『宗教に勝った』んでしょうぜ、事実上。今の時代、『科学で説明のつかなかったものが宗教で説明がつく』事より、『宗教で説明のつかなかったものが科学で説明がつく』事の方が多いですからね、圧倒的に!」

・追記3
ロビン:「実は追記2のぼくの言ったことって、人と意見とか考えが合わなかった時に、相手の考えを否定しないで自分の正しさを信じるための言い訳として思いついたんだ。まぬ犬なんていくら卑屈になっても人間関係は改善されなさそうだから、楽しくやってくためには、ちょっとくらい自信過剰な方が丁度いいのかもしれないね。」

・追記4
この本を読んでいるとき、自分がヨアンナみたいな人間として見られてたら(≒鬱キャラだと思われてたら)嫌だと思った。(笑)
でも彼女の浅ましさばかりが目に付くが(最初の頃は、ヨアンナは『自称鬱病のわがまま婆さん』的なキャラなのかと思ってた)、自分が本当にしんどい思いをしてるのにそれを周りに『自分に注目を集めるための嘘、演技』だと思われてたというのは気の毒だ。

斜体部は引用

2006年1月19日

敗北

「ええ、そうです」とリウーはいった。「際限なく続く敗北です」

最近読んだ本:
カミュ「ペスト」

モンモン:「ペストが流行して封鎖された街の話。舞台は仏領アルジェリアのオラン市。ペストという抵抗しようがない巨大な敵を前にして、次々と人が死んでいき、住民はいつまで続くか分からない、変化のない単調な日々の繰り返しの中を生きていくという、なかなか悲惨な話ですぜ!でも実際に読んでみると、そこまで陰惨な感じは受けないんですぜ。物語の最後で語り手が『故意に感情を抑えて書いた』っていうような事を告白するんですが、そのせいでしょうかい?でもドラマチックな事件や、登場人物の心境をうかがわせるような描写もしっかりあるんですぜ!」

斜体部は引用

・追記

このエントリーは誰からも「これは私に対する敗北宣言が暗示されてるんだ!」…と思われないタイミングを狙って投稿した(笑)

2005年9月19日

最近読んだ本とか

『デス&キャンディ(マックス・アンダーソン)』

モンモン:「アマゾンでも買えるけど発行元のサイトで買った方が安上がりかも。シール付いてきたし。スウェーデン出身のマックス・アンダーソンって人の描いた漫画。面白いキャラクターがいっぱい出てきますぜ。2冊組みですぜ!」

「1冊目は『ピクシー』。人間の体までリサイクルしちゃうような、おかしな社会のシステムに動かされてる現実世界と、時間が逆に進む不思議な世界『死の国』の話。『ピクシー』っていうのは死の国の荒れた地域で、大酒を飲んだり武器で遊んだりして暮らす”胎児”の一人の事なんですぜ!」

「2冊目は『カー・ボーイの冒険』。人間の体に、自動車の形の頭の生えたやんちゃな男の子。ストーリーの展開は、子供向け冒険物語を思わせる(『思わせる』ってだけで、実際は子供向けとしては不適切なので御注意)ゆかいなお話なんですが、ややグロテスクな描写や意味深なブラックユーモアに埋め尽くされてるんですぜ!ひねくれた深読みをすれば頭が痛くなってくる事は必至って感じですぜ!『カー・ボーイの冒険』の他にも、マックス・アンダーソンの短編漫画がいくつか収録されてますぜ。」

「『カー・ボーイの冒険』の話の一つに、コンポストに肉を捨てたら、そこに埋められていたカー・ボーイの両親の死体を肥料にして、肉の木『ミート・トリー』が誕生する話なんかもあって、なかなかシュールで奇抜っぽい感じなんですが、この漫画が描かれた数年後の1999年、実際にスウェーデンの生物学者によって人間の死体を肥料に生まれ変わらせるエコロジー埋葬法『Promessa』が特許を取得!わおー!」

オフィシャルサイト(日本語)
オフィシャルサイト(英語)


『宇宙怪人ゴーストのコミック5冊』

モンモン:「『mycomicshop.com』と『G-Mart Comic Book Store』のサイトで発掘。今度モンモンリポートにコミック紹介でもアップするかも知れませんぜ。」


白鯨(メルヴィル)』

モンモン:「三等航海士のフラスクとかいう奴が、何か感動的なセリフを言ってたなーって言うのを思い出して読み直したんですけど、そんなセリフありませんでしたぜ!フラスクじゃなくて二等航海士のスタブってのがそれっぽい発言をしてるところがありましたが、あんまり感動的じゃありませんでしたぜ!まあそんなもんなんでしょうぜ!で、この白鯨っていうのは、海の男イシュメールによって語られる、捕鯨船の話なんですが、小説の半分くらいは、イシュメールによる本筋には直接関係のない鯨やら船やらのウンチクで埋め尽くされているので、後半になってくるとだんだんめんどくさくなって来る読者続出間違いなしですぜ!でも、1頭のにっくき白い鯨をひたすら追い続けるエイハブ船長のカリスマストーカーっぷりは必見!あと、それぞれ頭の構造から違いそうな登場人物たちの個性も特徴的!」

しるく:「ジュビビッジュビー(…カリスマストーカー?)」

ロビン:「もっとかっこいい呼び方ないの?」

モンモン:「そうそう、これ初めて読んだ時、丁度近所にスターバックスが出来たんですよね!スターバックスの名前の由来にはこの『白鯨』も関係してるんだとか。」

2005年4月26日

Space Ghost 最終巻

ロビン:「Space Ghostのコミック最終巻到着ー。」

モンモン:「でもまた次のシリーズが出るみたいですねー。」

ロビン:「Zorakは死んでも死んでも次のZorakが沸いてくるみたいだねー。#4でそんな事言ってたよね。」

モンモン:「ってことは、コミックのZorakが今のSGC2CのZorakと全然違うモンになってるのも納得ですぜ!」

ロビン:「でもこのコミックではSGC2Cの設定は無視してるってこの前のインタビューの記事に載ってたよねー。ゴーストの本名以外。」

モンモン:「でもやっぱり無理矢理関連付けたくなりませんかい!?」

<結論>

!2004〜2005のコミック版Space Ghostは面白くなかった!結局最後まで面白くならなかった!
長所を見つけるのが大変だった(笑)。絵も面白くないし。
「王道SFアメリカンヒーロー漫画」の一言で片付けられる。
やっぱりスペースゴーストは(SGC2Cのように)アホでなければならない!

そもそもまぬ犬はあんまりSF好きじゃないしね
でも、SFも芸能人も別に好きじゃないのにSGC2Cは大好きなんだけどね
(まあSGC2Cの場合、だからこそ、SFアニメヒーローがアホ化されてたりゲストの扱いがいい加減だったりするのも楽しめるのかもしれないけど???…いやそれはないか。)

2005年3月23日

Space Ghost #5

モンモン:「Space Ghost #5ゲット!…てワケで、このスペースゴーストコミックシリーズも残すところあと1巻!最初は、アホじゃないゴーストなんて別に面白くなさそうだと思ってましたが、新ゾラックがなかなかイカしてたので、まあいい感じでしたぜ!ところで、続編も制作予定らしいですぜ!」

ロビン:「続編にはゾラック出てくるのかな。」

モンモン:「ブラックとかモルターとか、別の悪役にも是非登場して欲しいモンですぜ!ちなみに今回の話ではついにゴーストVSゾラックの対決が繰り広げられてましたぜ!」

ロビン:「それはすごいね。アニメ版宇宙怪人ゴーストだとそういうシーンってなかったよね。」

モンモン:「そもそもアニメの宇宙怪人ゴーストの主要悪役って、手下とかロボットとかに戦わせるのが専門みたいで自分では戦わないようなタイプの黒幕系ばっかりでしたからね!」

ロビン:「そうだったっけ?まあいいや。」

2005年2月21日

SPACE GHOST #4

ロビン:「こんにちワン。今日は2月21日月曜日。春分の日の1ヶ月前だよ。」

モンモン:「そうですかい?ところで、『SPACE GHOST #4』が発売されましたぜ!」

しるく:「ジュビビジュー(ゾラック軍団に囲まれて、口から血を流す大ピンチに陥ってるゴーストが表紙のヤツだな)」

モンモン:「でもそんなシーン、#4の中にはこれっぽっちもありませんでしたぜ!ゾラックも表紙のと中身のと全然姿が違いますぜ!」

ロビン:「ひひー。」

モンモン:「でもまあ今回の話はなかなかいい感じですぜ!ゾラック大活躍!100%悪役っぷりを発揮!Space Ghost: Coast to Coastのとは違って、すっかり黒幕的貫禄のあるキャラになっちゃってますぜ!でも謎の生命体って感じでかなりイカしてますぜ!」

ロビン:「ワン。」

モンモン:「で、宇宙の彼方からやって来て世の中を恐怖の渦に巻き込む、人食い害虫軍団ゾラック星人の来襲ーー!ってのが今回の話。前回までの『なんとなく単調な感じ』はなくなって、画面が生き生きしてるように見えてきたのは目が慣れてきたからだけじゃないはず!」

しるく:「ジュッビピポー(グロそうなシーンが全然グロくないのはわざとだろうな)」

モンモン:「そうですね。最近のC2CとかAqua Teen Hunger Forceとかだったら絶対、お馴染みの、リアリティーのない血の噴水/洪水が登場するところですぜ!ヒー!」

ロビン:「そうだ。そういえば、今回はアラン(Jayce)とケイト(Jan)も登場してたよ。」

2005年1月22日

Space Ghost #3

モンモン:「『Space Ghost #3』ゲット!ついにZorak登場ですぜ!」

ロビン:「あれはびっくりだね。」

モンモン:「そうですぜ!大幅イメチェン!うわーおーー!ゾラックはもともと巨大カマキリなんですが、あれはでかすぎですぜ!超巨大ゾラック!手足の本数も従来品より2本増量でお買い得ですぜ!」

ロビン:「ほんとだ6本になってるね。昆虫らしくていいね。」

モンモン:「昆虫っていうより爬虫類に近い感じですぜ!目つきとか何となく!昆虫チックなのが登場するのか、それともエイリアンチックなのか、人間チックなのか、どんなのが出てくるのかと思ってたら、なんと爬虫類チックだったとは!」

ロビン:「#4の表紙に出てるシルエットは今までのゾラック/カマギーラとあんまり変わらない姿なのにね。あれはゾラックの子分かな?それとも小さくなって分身したのかな?」

モンモン:「まあとにかく、この漫画がこれから面白くなってくかどうかは、このゾラックの活躍にかかってますよね!この新Space Ghostコミックはハイクオリティでリアルなのは結構なんですが、なんか全部にピントが合いすぎてるって言うか、つるつるしすぎって言うか、あんまり盛り上がってる感じがしないんですよね。ゾラックにはこれから濃い活躍をして欲しいモンですぜ!話の展開はかなり盛り上がってきてるんですが。我らのヒーローもすっかり復讐鬼モード!ぎゃーお!」

ロビン:「ところで、実は今回一番のびっくりはゾラックの登場シーンじゃないんだよ。へへへ。」

モンモン:「街角に浮かぶハイテクっぽいモニターの中に映し出されてる日本語にはびっくりしましたぜ。…街角に浮かび上がる特大ゴシック体の『設定資料全集』という文字たち!いったいどっからそんな場違いな単語を拾ってきちゃったんでしょうかい!?」

ロビン:「よく見ると同じゴシック体で『機動警察パトレイバー』って書いてあるモニターもあるよ。」

モンモン:「あーあ、登録商標!」


↓参考:これが昔のカマギーラね。(ずいぶん前に描いたヤツ。目つきがひどい。ほんとのやつはもっと…ナイス?)
カマギーラ
(SPACE GHOSTならびに関連するキャラクターおよびエレメンツはHanna-Barberaの商標です。私的使用のみが許されており、営利目的で使用することはできません。)

2004年12月26日

ゴースト2巻

ロビン:「『Space Ghost #2』が届いたよ。なんか悪そうなSpace Ghostが誕生してたよ。われらのZorakの登場は次回だね。」

2004年4月29日

海外通販で漫画が届いた

モンモン:「昨日アメリカのSLG PublishingからJhonen Vasquezの『I Feel Sick』の1巻と2巻と『Filler Bunny Special #1』と『Revenge Of The Filler Bunny』って漫画が届きましたぜ!初めて海外のサイトで英語でショッピングをした訳ですが、無事届いてほっとしましたぜ!」

しるく:「ジュッビジュビ(でも送料が商品の値段より高かったな…。封筒の表面の宛名のところにも変な文字化けっぽい記号も混ざってたし。住所も途中で途切れてたし。)」

ベルナ:「ちゃんと届いたなんて奇跡的だわ!!!」

モンモン:「で、昨日『I Feel Sick』をちょっと読みましたぜ!これはこの前アマゾンで買った『Jhonny the Homicidal Maniac』や『Squee's Wonderful Big Giant Book of Unspeakable Horrors』にも登場したデビって人が主人公の漫画で、『Jhonny the Homicidal Maniac』の主人公のジョニーも登場してますぜ!デビとジョニーは似たもの同士なんですが、頭の中の声に支配されて殺人狂になっちゃったジョニーと違って、デビは深みにはまる前に自分の頭の中の声に打ち克つんですぜ!ファンタスティック!」

ロビン:「あーそー。えへへ。おかしな話だね。」

モンモン:「・・・そうですかい?」

ロビン:「うん。じゃあね。ばいばい。今度はもっとおもしろい食べ物の話とかしてね。」

2004年3月 9日

牡猫ムルの人生観

ベルナ:「インターネット(EasySeek)で買った古本の『牡猫ムルの人生観』(ドイツ。1820〜22)が届いたわ!!!編集者はホフマンって事になっているけれど、本当は牡猫のムルが書いた本なの!!!」

ロビン:「ふふふふーん。なんか『吾輩は猫である』みたいだね。」

ベルナ:「ええ!!!『吾輩は猫である』の作者の猫も、本の中で牡猫ムル(カーテル・ムル)の逸話を引用しているのよ!!!」

ロビン:「ふーん。」

ベルナ:「ところで、今途中まで読んだんだけど、そのムルって猫は自分のことを『ゴットリープ王の親友で高位高官にのぼった牡猫”長靴をはいた猫”の子孫』だと思ってて、自称天才猫で、動機も意義も中身も何から何まで人間のもののネコ流の焼き直しの学問芸術(内容もネコレベル)に夢中なのよ!!!まあ、社会的立場の獲得とか世渡りのための教養なんかとは縁がなさそうってとこはナイスっていうか面白いとは思うけど、とにかく、全く、困った猫なのよ!!!」

しるく:「ジュッビジュジュ(ベルナの言うことはメチャクチャでよくわかんないな。あー、けど、つまり、ムルって奴は威張りんぼなんだな。ベルナみたいだ。)」

ベルナ:「いいえ!!!私はとってもおりこうさんよ!!!オッホッホッホッホ!!!」

しるく:「ジュッビジュブ(ほら威張ってる)」

・追記

あまりにも偉そうなのでボツになった序文として載ってた序文↓

 「序文」

   「作者の禁止されたるもの」

 「真の天才に生得な自身と落ちつきとをもって、おれは自分の伝記を世におくる。それは、どういう修養をすれば偉大なる猫になれるかということを世人に知らせるためである。また、おれの卓越性を全面的に世人にみとめさせ、かたがたおれを愛し、重んじ、尊敬し、驚嘆し、少しはおれを崇拝させんがためでもあるのだ。」
 「万が一無礼にも、この非凡な本のすぐれた価値に多少の疑念を起すものがあったら、その人のお相手としては、才気と理性と、おまけに鋭い爪を有する一匹の牡猫が控えておることを、とくと考えてもらいたい。」

   「(一八--)五月、ベルリンにて」


「ムル」
「(有名な文学者)」


ロビン:「自信満々でやたら偉そうにアホな事を書き散らして楽しくやってたムル君だったけど、後半になってくると、ネコ社会とかイヌ社会とかでまいったことになっちゃうみたいなんだ。」

「その社会的教養というのは、けっきょく、ありとあらゆる角や尖りを削りとって、ありとあらゆる人相をただ一つの人相に形作ろうとする努力(かえってそのために一つの人相にまとまらなくなってしまうんだが)にほからならないのだ。しかるとき彼らは、内心の不満をすてて、その教養の本質と、その根低となる貧弱な前提条件とをこだわらずにわけなく認めるとともに、かならずやその認識によって、その教養を欠くべからざるものとして要求する不思議な世界の市民となる事であろう。」(←引用する部分が微妙だから意味伝わらないと思うけど、これは「社会的教養」を皮肉ってる文。社会に適応できなくたっていいんだもんねー!と開き直っている。)

モンモン:「↑で、ムル君にしてはなかなかイカした(イカれた)ことを言い出すんですけど、その後には編集者の注意書きが!(笑)」

(編集者の注意書き---ムルよ、私が遺憾に思うのは、君が他人の書物でちょいちょい威張り散らすことだ。そのために君は、ひどく愛読者の信用を落とすことになりやしないかしらと、当然なことながら私は心配しないではいられないのだ。---君がそんなに自慢してみせる観察は、悉く楽長ヨハネス・クライスラー(ムルの飼い主の一人。狂人の一歩手前)の口から直接出ているのではないか?)


ロビン:「ちなみに、ムル君が下敷きとして破って使ってたせいでムルの伝記に混ざって印刷されちゃったって言う、そのヨハネス・クライスラーって人の伝記のページが、実はこの本の半分くらいを占領してるんだよ。」


・追記2

「『ゴットリープ王の親友で高位高官にのぼった牡猫”長靴をはいた猫”の子孫』だって!?なんかむずかしそーな歴史上の人物の名前なんか出して知ったかぶりしやがってむかつくぜ!」とお思いの方へ

『ゴットリープ王』はムル君のすんでる世界にしかいない架空の人物です。多分。っていうか『ゴットリープ王』はイコール、グリム童話の『ながぐつをはいたねこ』に出てくる『三番目の息子』のことです。要するにムル君は童話のネコちゃんに仰々しい肩書きをつけて敬ってるってことで、面白おかしいと思ったから引用したんですよ!!(笑)

ちなみに長靴をはいた牡猫の主人の名前(偽名)は、グリム童話では「このとき伯爵の名前として牡猫は、長々しく、もったいぶった名前を申し立てました」とされてて、シャルル・ペロー(フランス)版では「カラバ侯爵」とされている。(←これぞ知ったかぶり)

・追記3

ベルナ:「あと、ちょっと面白いと思ったのは、登場人物が文字通り精神病患者のオンパレードだってとこですかね。作者のE.T.A.ホフマンに言わせると、精神の倒錯した人間を描くことが、『現代におけるメルヘン』なんだとか!」(←たまたま聞いたラジオ(普段は決して聞かない放送大学)で得た情報)

 
ギャー!エイリアンの右足が生えてきた! 
 
 
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